今日は、15年近くフリーランスミュージシャンとして活動してる僕から、これからニコニコ動画やYouTube、同人音楽などを通じて、有名Pや、フリーランスミュージシャンになりたいと夢をみている若者たちへ、先輩として「フリーランスミュージシャンだけには絶対になってはいけない」と、普段の気苦労話を含め、書いていこうと思います。
まず、最大のデメリットは、フリーランスゆえに、お金を借りることができない。制作資金は自分でバイトなどをして貯めなければならない。10万以上のものを買う場合、シッピングローンなどの審査もキツくなります。もちろんそこそこ名のあるクレジットカードは作れません。
大きな買い物は基本的に現金一括で、海外からのお買い物や、通販、ダウンロード販売などは、VISAデビットなどの銀行口座直結型のクレジットカードもどきなどを使うことになります。
そして、もちろん、毎月のお給料もありませんし、ボーナスもありません。
収入がゼロの月だってあります。
フリーランスの場合、大手よりも、中小プロダクションや、個人で活動してるアーティストさんなどが主な取引先となりますので、予算が少ないことが多く、時給レベルに換算すると、300円を下回るような案件もザラにあります。
贅沢はしない、自分だけが細々と食べていければいい、結婚なんて無理、子孫は残せない、家賃・保険・税金の滞納は当たり前、社会的な信用は失う、これ以上の覚悟が必要となります。
実家住まいでスタートしても、家族や親戚からの冷たい視線に心を折られてしまうでしょう。
こんなエピソードがありました。
とある賃貸マンションの管理会社の僕の部屋の担当者と電話口で話をした時のことです。
「お仕事は自営業と聞いておりますが、主にどんなことをされていますか?」と聞かれたので、正直に「音楽を作っています」と答えたところ、鼻で笑われましたね。それから上から目線での対応が続くわけですよ。もうなんか底辺の人間と喋るような口調でね、淡々とね。
この瞬間から、この管理会社へ気持良く家賃を払うことができなくなりましたね。
家賃くらい気持良く払わせてくれよと(笑)
余談ですが、こいつをクビにするためにはどうしたら良いんだろう?と本気で考えたこともありました。
「仕事は何をやってるんですか?」と聞かれた時に、フリーランスな我々は、胸を張って「ミュージシャンです」とは答えづらかったりします。
なぜかといいますと、音楽で生計を立てていることには変わりはないのですが、つい「音楽を作って生活してます」なんて口に出してしまった日には、「誰に曲を書いてるんですか?」という、とってもダメージの大きな質問が我々のガラスのハートを砕きに襲ってきます。
フリーランスミュージシャンは、メジャーなアーティストに曲を書く機会など、ほぼありません。
自分が楽曲を提供したアーティストの名前を出したところで、その界隈に特別に詳しい人でない限り、「誰それ?」っていう冷たいリアクションが返ってきます。
例えばですが、地下アイドル界隈ではトップクラスのアイドルに楽曲を提供してましたとか、どこどこのご当地キャラのオリジナルソングを作りましたとか、コミケでは常に壁配置の超一流同人サークルに曲を提供してましたとか、メジャーレーベルに所属してるアーティストに曲を書いてましたと答えても、カウントダウンTVとか、ミュージックステーションをメインにみている一般の方からしてみれば、無名なアーティストだったりするわけです。
ニコニコ動画で10万再生したよー!・・・は?なにそれ?ですよね。
ああ、自称ミュージシャンね。って思われて終わりです(笑)
音楽だけで生活をしたいと考えてる方達からは、熱い賞賛をいただくこともあります。
苦しくも夢破れて、仕方なく就職したり、家の仕事を手伝っている方達からも、続けられてるのがスゴイよって言ってもらえたりもします。
でもね、あなた達のほうが年収は上ですよ!と声を大にして叫びたいです。
我々、フリーランスミュージシャンというのは、とにかく立場が低いです。
しかも最近は、メジャーレーベルとの契約が切れ、メジャーから落ちていらっしゃったミュージシャンの方達が、我々の領域を食い散らかしています。
中小プロダクションや、個人事務所の方は、名前までは知らない人だけど、元メジャーでやってたんならスゲーんじゃね?と、とっても悔しいことですが、そっちに仕事が行ってしまうことは多々あります。
現場を知っているのは我々なので、ファンの方々が求めるものは理解してるつもりですが、我々には輝かしい経歴などは一切ありませんので、学歴社会と同じで、良い仕事を持っていかれてしまうわけですね。
これは負け惜しみですが、元メジャーのミュージシャンへ楽曲の発注を切り替えて、現場の求めるサウンドを出せなくなって、消えていってしまったアーティストやアイドルをたくさん知っています。
というわけで、いろいろと書き綴ってきましたが、フリーランスのミュージシャンなんて、良いことないです。
他にやりたいことや、自分の可能性があるなら、やめておきましょう。
じゃあ、なぜ、僕はフリーランスを続けているのか?
好きな音楽をやって、自分の音楽の権利を自分で管理するなら、この道しかないと思ったからです。
だから、どんなに辛くても続けられるというか、これしかないから、頑張れるんですよね。
今はフリーランスミュージシャンという立場を利用して、著作権フリーの楽曲制作依頼を受けています。
どんなに曲が売れても、あとから印税が入ってくることはないので、夢も希望もありませんが、中小プロダクションや、個人事務所の方、個人で活動してるアーティストの方々が、煩わしい著作権のことを考えずに、自分の曲を好きなだけ使っていただけるようにと思ってやってます。
日々精進、どんなに辛くでも前向きにやっておりますので、よかったらお仕事をください(笑)
今後ともよろしくおねがいいたします。
・ロイヤリティフリー(著作権フリー)のオリジナルソング制作
http://www.tmx-unlimited.com/price.htm